【「感情の勘定」度:大な気がする】
本書を読むきっかけは以下のとおり。
- 情報の授業で著作権や個人データを扱う
- 経済的な話が出る
- 最近は「行動経済学」がキーワードらしい
- 経済学といえば池田信夫blogだ
- 入門書として行動経済学 経済は「感情」で動いている (光文社新書)
がヒット
380ページと新書にしては厚めだが、新しい世界を知るには必要な厚みと判断した。目次紹介。(光文社/行動経済学より)
はじめに
第1章 経済学と心理学の復縁……行動経済学の誕生
第2章 人は限定合理的に行動する……合理的決定の難しさ
第3章 ヒューリスティクスとバイアス……「直感」のはたらき
第4章 プロスペクト理論(1) 理論……リスクのもとでの判断
第5章 プロスペクト理論(2) 応用……「持っているもの」へのこだわり
第6章 フレーミング効果と選好の形成……選好はうつろいやすい
第7章 近視眼的な心……時間選好
第8章 他者を顧みる心……社会的選好
第9章 理性と感情のダンス……行動経済学最前線
主要参考文献
おわりに
入門書だけあって、経済学の知識がほぼ0の私でも読破できた。とはいっても、多少の数式やグラフはあまり吟味せずに読んだ。本書でも次のように言っているではないか。
厳密に間違っているよりは大ざっぱに正しいほうが役に立つ
閑話休題。本書の基礎は「合理的経済人を想定した経済学は破綻している」という事だ。人間には感情があり、自分にとって不利益があっても特定の行動をする場合だってある。本書で紹介されていた「最後通牒ゲーム」などは典型的な例であろう。
これを情報教育に応用することを考える。教科情報の各種テキストや実践されている情報科の授業において、「合理的経済人」ならぬ「合理的情報社会人」を想定している可能性は十分ありうる。だが、現実はもっと多様だ。
怪しいサイトがあれば覗きたくなるのが人であり、他人の私生活に興味があって自分の私生活は隠したいのも人である。著作権が財源であれば著作権は強くしたいし、自他の著作物を利用したい(されたい)のなら著作権は弱くしたいもの人である。Officeソフトの操作を生徒に習得させて欲しい人もいれば、Officeソフトの授業が諸悪の根源だと主張する人もいる。
特定の考え方に都合のよい「合理的情報社会人」を想定して授業をしている可能性はないだろうか。もしそうなら、授業が机上の空論になってしまう。情報社会を実際に構成しているのは「自分の欲望に素直な人たち」である。情報社会は圧倒的に多様なのだから、オープンスタンスな情報の授業の方が自然だと思えた。
私個人としては、情報社会の経済的な話をするときのバックボーンとなってくれる気がする。情報科教員にとって、教養的な一冊なのかもしれない。

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