【MTG、「趣味のメタゲーム」度:大?】
MTGが文化へ成長するための一助になればよいと考える。
MTGは非電源系対戦型卓上ゲームである。しかし、世の中はMTGを文化としては見ていないと感じる。その理由は何か。ソリューションは何か。以下、日本でお馴染みの非電源系対戦型卓上ゲームである将棋・囲碁との比較という手法で簡単に考えてみる。
<注>完全情報ゲームである将棋・囲碁と不完全情報ゲームであるMTGを比較しているが、本記事において本質的ではない。</注>
1.歴史の比較
- MTG 16年
- 将棋 1000年ぐらい
- 囲碁 2000年ぐらい
将棋や囲碁の歴史は長く、MTGの歴史は短い。歴史が短ければ流行で終わる事もある。文化へ成長するのに時間が必要なのは論を待たない。
2.競技人口の比較
- MTG 8000人程度(2008年 DCI Statistics Centerより)
- 将棋 660万人(2007年 レジャー白書2008より)
- 囲碁 240万人(2007年 レジャー白書2008より)
MTGと将棋・囲碁のソースが違うので単純な比較は出来ないが、MTGと囲碁・将棋とでは「0」が3つ違う。レジャー白書は「1年に1回以上将棋を指す/囲碁を打つ15 歳以上の人口」を推計している。このことを差し引いても、桁が3つ違う世界だ。競技人口が多ければ認知度は高くなる。
将棋や囲碁の競技人口が百万人単位で減少しているとの指摘は正しい。レジャー白書2008によれば2006年の競技人口は将棋で770万人、囲碁で360万人と推計されている。1年間で競技人口は将棋で110万人減、囲碁で120万人減である。MTGの競技人口が100万人減少したらMTGの市場やコミュニティが滅びてしまう。
3.運営組織の比較
- MTG
Wizards of the Coast(以下WotC)、タカラトミー
- 将棋
日本将棋連盟、日本女子プロ将棋連盟
- 囲碁
日本棋院、関西棋院
WotCやタカラトミーは会社、将棋連盟は社団法人、棋院は財団法人。WotCやタカラトミーが運営している限り、営利目的なのは当然である。一方、社団法人や財団法人は非営利法人であり、将棋文化や囲碁文化の振興が目的である。「営利」と「文化振興」では文化と認知されるかどうか、違って当然なのだろう。
もちろん、各運営団体の財務状況が健全かどうかは別問題だ。利益については「かなり久し振り」で将棋とMTGを比較した簡単な解説がある。(別件だが、リンク先のブログあさがおさん観察日記はアクセシビリティが低いと感じたのは私だけか?)
4.対戦環境の比較
- MTG
Magic Online、店舗大会(FNMなど)、草の根大会、公式大会
- 将棋
ネット将棋、学校の部活、将棋クラブ、アマ各種大会、プロ大会
- 囲碁
ネット囲碁、学校の部活、碁会所、アマ各種大会、プロ大会
オンライン対戦について。Magic Onlineは専用ソフトが必要で有料だが、Magic Workstationといった無料ソフトもある。ネット将棋やネット囲碁は基本的に無料である。初心者の参加しやすさは有料よりも無料の方が良い。
学校の部活の有無について。MTGが学校の公式な部活として認められている事例を聞いたことがないし、あったとしてもレアケースであろう。大会だが、以前は高校選手権やジュニア選手権、U-18トーナメントが以前は開催されていた。今は行われているのだろうか?学校にはMTGを部活として認めていることはほとんど無いだろうし、MTGの腕に覚えがある教員が顧問をするなんて神話レアの出現確率より低い。(私はレーティング1600~1700の教員である。そして勤務校にはゲーム関連の部活はない。(´・ω・`)ショボーン)
将棋や囲碁は学校においてはマイナーな部活かもしれないが、部活として公認された存在だ。都道府県の文化連盟には将棋部会や囲碁部会があり、高校生としての公式大会として認められている。部活として参加すれば欠席扱いはされない。将棋や囲碁の腕に覚えがある教員はどの学校にも一人ぐらいはいるし、その教員が顧問をしているのだろう。
<極めて個人的な見解>
いわゆる軽音楽(ロックやJ-POP)やストリート系ダンスなどが文化へと成長するにしたがって、学校現場でも正式な部活動として認知されてきている実態がある。事実、各都道府県高校音楽連盟の存在や、新聞報道(5) 路上ダンス 礼儀も磨く(読売オンラインの教育ルネサンス)といった形で認知されている。
学校の部活の有無が重要なポイントだと感じるのは、私に教員バイアスが入るからだ。しかし、学校に部活があるかどうかは、(例外はあるにせよ)文化としての成長度を示す一つの指標にはなると思う。
</極めて個人的な見解>
5.プレイヤー育成環境の比較
- MTG
ショップ店員や認定ジャッジによるアリーナリーグ(現在は休止?)
- 将棋
有段者や指導棋士による将棋教室(「将棋教室」で検索すると・・・!)
- 囲碁
有段者による囲碁教室(「囲碁教室」で検索すると・・・!)
ここでは礼儀作法やルール、定石の習得に注目してみる。決定的違いは各種教室、特に初心者教室の存在だと感じる。
MTGには継続した初心者教室が存在しない。MTGプレイヤーは礼儀作法やルール、定石をどこで習得したのだろうか。友人とプレイしていて自然に覚えたり、各種ブログ記事を読んだり、トーナメントに参加して経験を積んだり、将棋や囲碁のそれを拝借したのではないだろうか。かつてアリーナリーグが初心者教室として機能していたが、現在は休止しているようだ。アリーナリーグの後釜であるコロッセオはお店で友達と遊びながらカードも貰っちゃおう!
が趣旨なので、初心者教室としての機能は無い。コロッセオの評価はともかく、趣旨を理解した記事が小さな事からコツコツと(今更ですが)にある。
将棋や囲碁には有段者による各種教室があり、礼儀作法やルール、定石の習得など、将棋指しや碁打ちを育成する環境が整っている。(環境が整っているにもかかわらず競技人口が減少しているとの指摘は正しいが、打つ手を打っているという点を評価したい。)
細かい事かもしれないが、専門用語絡みで少し触れておく。
初心者から見た壁の一つが専門用語である。優先権やスタックなどの基本的なマジック用語は初心者には難しい。「バウンス」や「CIP」といったスラングや、「ラス」や「ヒッピー」といった俗称も慣れるまでは時間がかかる。今でこそMTG Wikiがあるが、Wikiなので信憑性は推して知るべし。MTGには公式ハンドブックであるが、エキスパンション発売前の執筆なのでカード評価は安定しない。
将棋は駒の動かし方を覚えるのに時間がかかるがルールはMTGほど複雑ではない。囲碁は勝敗判断が初心者にとって難解ではあるが、ルールはMTGほど複雑ではない。将棋や囲碁の用語には一般的に使われている言葉もあり、馴染みやすさもある。「王手」や「持ち駒」は将棋用語、「傍目八目」や「捨て石」は
囲碁用語だ。将棋や囲碁には関連書籍が豊富にあることも見逃せない。
6.礼儀作法やルール、定石の習得
1.~5.の比較とは別に、礼儀作法やルール、定石の習得について。私がとやかく言うよりも、参考となる先行記事を紹介する。(自分が知る範囲で紹介)
(1)礼儀作法に関する先行記事
日本語訳は公式書類ではないものの、Judge Handbook 日本語版(pdf) (MJMJ.infoより)にはDCI懲罰指針・手順書がある。
自分の知っている、礼儀作法に関する記事は少ないが紹介してみる。
(2)ルールに関する先行記事
テクニカルな意味でのルールに関する記事は認定ジャッジが様々なサイトやブログで展開している。よくある質問から一般プレイヤーの頭が痛くなるような質問まで答えてくれる。例えば、次のような問題に対しても懇切丁寧な解説が紹介されている。
私は
《樹上の村/Treetop Village》
《謙虚/Humility》
《ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphs》
と、その他基本土地をコントロールしている。
私は《樹上の村》の起動型能力をプレイし、自身をクリーチャーにした。
3-1)《樹上の村》のP/Tはいくつになるか?
3-2)また、《樹上の村》はトランプルを持っているだろうか?
(Answer: Friday Magic Quiz. [08-41A]より)
ルールで疑問があるときは、私はcloset belief 2やMJMJ.info、カード破産への道を参考にしている。他にも解説サイトや開設ブログは多数あるのだろう。
また、広い意味でのルールに関する記事もある。自分の知っている記事を3つ紹介してみる。
(3)定石に関する先行記事
フォーマットを問わず、定石の解説はMTGプレイヤーやジャッジのブログなどで多数語られている。メタゲーム論や構築論、ドラフト論、シールド論、戦術論、精神論、エキスパンション分析など多岐にわたる。また、Braingeyserというサイトや、マジックで良くある過ち、勝ちに行くための10の心得(2本とも_より)といった翻訳記事もある。これらの先行記事は示唆に富んでおり、MTGプレイヤーなら一読の価値はあるのだろう。マジック:ザ・ギャザリング公式ホームページ(2009年1月1日からウィザーズ・オブ・ザ・コースト社のウェブサイトへと移管・統一される)にはトッププレイヤーによる公式コラムも存在する。
6.MTGが文化へと成長するために
経験値が少なくレーティング1600~1700の私が思いつくままにリストアップしてみる。当然、内容の妥当性は吟味が必要だ。
(1)プレイヤーが今から出来そうな事
思いつくままに叩き台をリストアップしてみる。
- 礼に始まり礼に終わる(勝負事の基本)
- モノを散らかさない(来た時よりも美しく!?)
→ 破れたスリーブや空のパック、飲み干したペットボトルなどはゴミ箱へ
→ 食べかす注意!食べ散らかすとネズミが出るよ
→ 飲み物はフタがしまるモノがよい
- 新しいプレイヤーが来たら歓迎してみる
→ 声をかけてフリープレイをするだけでも輪が広がる!?
- 仲間内だけで盛り上がり過ぎない
→ コミュニティが閉じてしまう
- 友達をMTGに誘ってみる
→ 初心者には優しく丁寧に根気よく接しよう
- ちびっ子プレイヤーには広い心で接する
→ お兄さんやお姉さんの印象でゲームの印象が決まる(子供が先生を好きになれば勉強も好きになりやすいのと同じ原理)
- トークンにはMTGのカード以外を使う(ルールの遵守)
- 一般の人が見て「引く」ようなカードをトークンとして使わない
(例:水着のお姉さんカード、水着のお兄さんカード、萌え属性を強くアピールするカードなど)
- カウンターとしてMTGのカードを使わない(ルールの遵守)
→ サイコロ類を使いましょう
→ おはじきは賛否両論か?
- 硬貨(現金)をカウンターとして使わない
→ MTGを知らない人が見ると「賭博」や「真剣師」に見える可能性がある
→ 大会主催者判断で大会リムーブかもしれない(大会参加の願いが通るかどうかはプレイヤーの反省と主催者の判断次第?)
→ もしかしたら、大会がその会場からリムーブかもしれない
- ジャッジに対して敬意を払おう
→ 「ヘイ、ジャッジカモン!\(*`∧´)/」は少し怖い
→ 「ジャッジお願いします(◎´∀`)ノ」の方が丁寧だと思う
- 公式戦でのライフ管理は筆記用具を使う
→ トラブル回避の第一歩
- 対戦相手を煽らない(ルールの遵守・非紳士的行為はヨクナイ!)
→ ブラフと煽りの境界線は難しいので要議論
→ 自分の癖も見直すとよい
- 声に出してプレイを確認する(MTGはコミュニケーションゲーム)
→ コミュニケーショントラブルの予防になる
- 一般の人が見て「引く」ようなスリーブを使わない
(例:水着のお姉さんスリーブ、水着のお兄さんスリーブ、萌え属性を強くアピールするスリーブなど)
- スリーブをシャカシャカしすぎない
→ やりすぎるとスリーブに違いが出てくる(マークド?)
- スリーブに入れるときは裏面を確認しておこう
→ カジュアルであってもマークドは嫌がられるものだ
- 上質のスリーブを使おう
→ キャラクターが描かれたスリーブが受け入れられるのはFNMまでかな?
(2)店舗や大会に提供できるアイデア類
店舗の事情や大会運営の事情は良く分からない。役に立たない事を承知の上で思いつきをリストアップしてみる。
- 初心者講習を継続開催なんてどう?
→ 人材、会場、告知などが負担?
- 初心者向けのお土産パックなんてどう?
- マナーハンドブックの作成・配布なんてどう?
→ プレイヤーよりも認定ジャッジの方が全体を俯瞰できると思う
- 複数の大会で色々と協力できると相乗効果があるかも
- 大会運営に資金が必要なら参加費を検討してみては?
→ 高校生や学生は、時間はあるがお金がない
→ 社会人は、お金はあるが時間がない
(3)WotC社やタカラトミー社にやって欲しい事
WotC社やタカラトミー社の事情は分からない。財務状況、人的資源、各国の経済状況、為替レート、各種契約、WotC社とタカラトミー社の関係、会社と国内のカードショップとの関係、会社とバイヤーとの関係など、大人の事情は様々だろう。だが、プレイヤー目線で希望をリストアップしてみる。
- 初心者講習制度(アリーナリーグ?)の充実や継続
外部のスポンサー企業を呼び込んで協賛金などの提供を頂く
(かなり久し振りより)
- MTGを継続可能な趣味として選択してもらえるような工夫
時代を読んだ経営を期待したい。釈迦に説法ではあるが、レジャー白書2008の一節を紹介する。
参加率は低下
余暇活動種目への参加率・年間平均活動回数・年間平均費用などの主要指数の水準変化を調べたところ、この10年で9割の種目が参加率の水準を落とす一方、年間平均参加回数の上昇した種目は6割にも上っている。つまり、”好きな種目にはいっそう盛んに参加する一方で、関心の低い種目への参加率は控える”-いわば余暇活動の選択投資化の傾向がはっきりと認められる。
「選択投資型余暇」の時代へ
むろん余暇活動の”絞り込み”の背景には、個人消費の冷え込みや時間的ゆとりの喪失も影響していよう。しかしそうしたネガティブな要因だけでなく、消費者が関心の高い活動を主体的に選択し、時間やお金のレジャー資源を投資する「選択投資型余暇」への動きが無視できなくなっている。こうした消費者の志向の変化に注目した需要開拓戦略の転換が求められる。
(レジャー白書2008 巻頭要約より)
選択投資型余暇の時代であれば、様々な趣味が限られた競技人口を奪い合う擬似的なゼロ和ゲームと考えてよいだろう。選択投資的な動きをする傾向が強いので、MTGへの関心が低くなった層を呼び戻すのはとても大変な事だ。今回スタンダード落ちした「時のらせんタイムシフトのカード」121枚の効果はどうだったのだろうか。情報開示が待たれる。
7.オチ
野次馬 「で、直近の戦績は?」
PWC 0-3-0 Drop
( ゚д゚)、;'.・グハッ

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